クサウラベニタケの概要
クサウラベニタケの大きさは、カサが3cmから8cm、ツカの長さが5cmから10cmです。幼いものは、球を半分にした形ですが成長すると平らにひらいていきます。カサの色は、灰色からで湿気があるとヌメリがあります。肉は表面とほぼ同じ色をしており、味は特になく、ニオイは僅かな粉臭があるのが特徴です。また、ツカの部分の肉はスポンジ状となっております。クサウラベニタケは、地味な色で毒キノコを感じさせない姿をしており、食べる事ができる「ウラベニホテイシメジ」や「ホンシメジ」と似ている為、誤って食べてしまう事が多い毒キノコです。そのため、自己採集したきのこによる毒キノコ食中毒の他に、路上販売や卸売り市場を経由した流通販売されたきのこでも中毒例が報告されています。
クサウラベニタケの写真
クサウラベニタケの季節
夏から秋にかけて、アカマツ混生林下や広葉樹林下で見る事ができる毒キノコです。
クサウラベニタケの有毒成分
クサウラベニタケの有毒成分は、溶血性タンパク,コリン,ムスカリン,ムスカリジンなど嘔吐,下痢,腹痛などの胃腸などの症状を起こします。また、発汗などムスカリン中毒の症状も現れます。クサウラベニタケを摂食後10分から数時間で症状が現れ、神経系および消化器系の食中毒を起こし、死亡例もあります。ムスカリンは副交感神経を興奮させることで縮瞳、発汗などを示す毒素である。コリン、ムスカリジンは詳しい情報がないが、消化系に作用すると言われる。溶血性タンパクはその名の通り、溶血を起こすタンパク質で、一般的に食べられるヒラタケやエノキタケにも含まれる。これはタンパク質が持つ消化酸素というものが内蔵の粘膜を傷つけ、溶血作用により下痢を引き起こすものだが、十分に加熱すれば酸素は動かなくなる。
ムスカリン
ムスカリン、アセタケ類およびカヤタケ類の特定のキノコに含まれるアルカロイドの一種。1869年にベニテングタケから初めて単離された(0.00025% - 0.0003%含まれる)。 ムスカリンは副交感神経作用物質で、末梢の副交感神経系に重篤な刺激作用を生じさせ、痙攣や死にいたることもある。ムスカリンは、血液脳関門を通れないため、中枢神経系に直接影響を及ぼすことはない。ムスカリンは、あるタイプのアセチルコリン受容体(ムスカリン性アセチルコリン受容体)に結合し、神経伝達物質アセチルコリンの作用を模倣する、副交感神経作用薬である。 ムスカリン中毒は、キノコの摂取後15-30分後に、涙と唾液の分泌増加、発汗が見られることで特徴づけられる。大量に服用した場合、これらの徴候の後に、腹痛、ひどい吐き気、下痢、瞳孔の縮小(縮瞳)、呼吸困難などが続くことがある。これらの中毒症状は、通常2時間以内で静まるとされる。ムスカリン中毒によって死亡することは珍しいが、まれに心臓発作や呼吸不全の原因になることがある。解毒剤としてアトロピンがある。
クサウラベニタケの食中毒症状
クサウラベニタケを誤って摂取すると10分~数時間ほどで腹痛、下痢、嘔吐などの胃腸系中毒を起こし、ひどい時はムスカリン中毒の症状(発汗、流涙、流涎、痙攣、瞳孔の縮小、徐脈、視覚障害、血圧低下。最悪の場合は心臓発作、呼吸困難など)を引き起こし、死に至る場合もある。毒性はそれほど高くなく、胃腸系の症状で済むのが大半で、ムスカリン中毒が出ることは少ない。死亡例があるらしいが、詳細は不明。クサウラベニタケによる食中毒例中毒例は平成元年~22年にかけて、少なくとも258件が報告され、1041名の患者が記録されている。これは日本における毒キノコによる食中毒では2番目に多い数値である(最も多いのはツキヨタケ)。クサウラベニタケに限った話ではないが、他の食菌と間違えて販売されるという事件もある。2016年9月下旬には、岡山県の道の駅で本種をハタケシメジとして販売され、これを鍋にして食べた夫婦が中毒している。さらに過去にはウラベニホテイシメジに混じって販売されたケースもあるという。
クサウラベニタケは地域によって違う呼び方もある
クサウラベニタケは、めじんなかせ(岩手,青森県),にたり(埼玉県,前橋市,大分),あぶらいっぽん(前橋市),ささしめじ(金沢市),にせしめじ(秋田,青森地方),うすすみ,さくらっこ,どくよもだけ,どくしめじ(秋田県),いっぽんしめじ(岩手,新潟,富山,長野県),あしぼそしめじ(埼玉)と呼ぶ地域もある毒キノコです。
食中毒防止のポイント
クサウラベニタケみたいな毒キノコによる食中毒を予防する為には、食べる事ができるキノコを確実に判断できない場合には、採らない! 食べない! 売らない! 人にあげない4つが重要です。毎年、知識が無い方が採取した方が食中毒となっております。専門的な知識が無い素人の方による採取は絶対にやめましょう。詳しくは「毒キノコの種類と有害成分による影響」で説明しています。
- わからないキノコは採取しない。
- 他の種類が混入しないように注意して採取する。
- 昔から言われている「言い伝え」は間違っているので信じない。
- 図鑑などで素人判断はしない。
- 食用でも生の状態で食べたり大量に食べると食中毒になるものがあるので注意。
食べてから症状があらわれる時間(潜伏期間)は短く、キノコ狩りで採取したものをを食べて体調が悪い場合には、直ちに医療機関を受診して下さい。もし、食べた料理等が残っている場合は、医療機関に一緒に持参して治療の参考にしてもらって下さい。下痢や嘔吐の症状は、一般的な食中毒でも同様な症状があります。細菌やウイルスによる食中毒が気になる方は「食中毒(Food Poisoning)」を参照してください。
特に注意したい毒キノコのまとめ
日本国内で発生する種類を一覧形式にまとめました。それ以外の種類についても右の一覧から選んでみてください。毒キノコの名称をクリックすると生息場所、特徴、毒の種類、もし誤って食べたときに現れる症状などをまとめてあります。
毒キノコの名称 | 毒キノコの特徴 |
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カエンタケ |
日本国内で見ることが出来る毒キノコの中でも危険性が高いです。毒性が強く有毒成分3グラム程度で人を殺すことができます。また、触れただけでも皮膚が炎症を起こしますので触れない様にしましょう。カエンタケは、ハイキングコースや公園などの小道の脇でも確認されています。もし、カエンタケを見つけたら触れずに市役所などに連絡してましょう。もし、誤って食べると概ね30分程度で、腹痛、下痢、嘔吐などの消化器系の症状があらわれ、さらに症状は悪化し悪寒、頭痛、手足の痺れ、喉の渇きなどの神経症状もあらわれます。カエンタケに含まれる有毒成分は、エンタケ トリコテセン類(ロリジンE、ベルカリンJ(ムコノマイシンB)、サトラトキシンHおよびそのエステル類の計6種類。 |
オオシロカラカサタケ |
オオシロカラカサタケは、熱帯地方のキノコであり、そもそも日本には存在しないキノコだったと考えられます。以前は、日本国内でも沖縄県や小笠原地方でしか見る事ができませんでした。現在、オオシロカラカサタケは、西日本、東海地方で春から秋にかけてみられる毒キノコです。誤って食べると1地時間から3時間程度で腹痛、下痢、嘔吐などの症状があらわれ、さらに発熱、悪寒、頭痛、痙攣などの症状を引き起こすことがあります。毒素は非常に強く症状も激しいことがありますので注意が必要です。オオシロカラカサタケは、タンパク性毒成分であるモリブドフィリシン、ステロイド類を含む。また、毒成分ではないが、レピオチンA、Bという化合物を含んでいる。 |
アンズタケ |
アンズタケは、夏から秋のはじめにかけてモミ、ツガ類の林内や広葉樹の林内地上に群生する毒キノコ。 正しく処理すれば、食用になり、味にもクセがない。例えば、牛肉、豚肉、鶏肉などの肉料理の付け合せやカレーの具材として使われる。鹿肉と一緒に食べる伝統料理もある。誤って食べると発症するまでの潜伏期が6~24 時間と長いため、治療が遅 れたり、また、数日後に肝障害が発現するため重篤になるケースが多いです。日本ででの中毒の発生件数は少ないが、きのこによる死亡例の9割はアマ トキシン群のきのこによるものである。アンズタケに含まれるアマトキシンの量は、微量であるが猛毒であるため生食で大量に摂取すると中毒になる可能性もあり避けたほうがよい。 |
ベニテングタケ |
ベニテングタケは非常に可愛らしい赤色に白い斑点があるのが特徴です。しかし、その派手さから毒キノコだと注意されているので誤食による食中毒は、多くは発生していません。夏から秋にかけて抗原のマツなど針葉樹や白樺など広葉樹の地上に発生します。誤って食べると比較的短時間(30分から90分)で下痢、嘔吐、眠気、発汗、さらに、健忘、幻覚、ハイテンションなどの症状があらわれ治療する必要があります。多くの場合は、重症化する事もなく1日程度で回復します。 ベニテングタケに含まれるイボテン酸は、強いうま味成分でもあります。そのた、ベニテングタケを塩漬けにして食べている地域もあります。乾燥したベニテングタケは、毒性が強くなるので食べない様にしましょう。 |
ドクツルタケ |
ヨーロッパではドクツルタケを「死の天使」の異名で恐れられている。初夏から秋にかけて針葉樹林,広葉樹林の地上で見る事ができます。 野生のマッシュルームと見まちがえやすく、海外では食中毒の件数は多い。日本ではあまり食べる人もいないが、 数年に一度は食中毒があり数名が命を落としています。誤って食べると6~24時間後にコレラ様の症状(おう吐、下痢、腹痛)が現れるが1日でおさまり,その後24~72時間で内臓の細胞が破壊され肝臓肥大,黄疸,胃腸の出血などの肝臓,腎臓機能障害の症状が現れ,死亡する場合がある。催吐,胃洗浄,活性炭投与など適切な処置が必要である。ドクツルタケの有毒成分は環状ペプチドで、アマトキシン類(α-アマニチンなど)、ファロトキシン類(ファロイジンなど)、ビロトキシン類、ジヒドロキシグルタミン酸などがある |
テングタケ |
初夏から秋にかけて広葉樹林の地上に発生します。(針葉樹に生えるのはイボテングタケ)。見た目の特徴は、初め半球形で傘が開き、成長すると傘が開き平らになります。テングタケの肉は白色でもろく、味やニオイは特にありません。他にも似た種類がありますので注意しましょう。誤って食べると30分程で嘔吐、下痢、腹痛など胃腸消化器の中毒症状が現れる。そのほかに,神経系の中毒症状,縮瞳,発汗,めまい,痙攣などで,呼吸困難などの症状になり,1日程度で回復するが,古くは死亡例もあります。テングタケに含まれる有毒成分は、イボテン酸、ムシモール、スチゾロビン酸、ムスカリン類、アマトキシン類,アリルグリシン、プロパルギルグリシン150などがあります。 |
ツキヨタケ |
秋にブナの枯れ木上に重なるように群生する毒キノコです。シイタケに色も形もそっくりであるが、誤食するとおう吐と下痢で腰もたたなくなるという。採ってからあまり時間がたたないうちであれば暗闇の中ではひだが青白く光る性質があり、もし不安だったら、きのこを持って暗い所へ入ればわかる。誤って食べると食後30分~1時間程で嘔吐,下痢,腹痛などの消化器系の食中毒の症状が現れる。また、幻覚痙攣を伴う場合もあるが,翌日から10日程度で回復する。症状がひどい場合は、痙攣、脱水、アシドーシスショックなどを起こすこともある。ツキヨタケに含まれる有毒成分には、イルジンS、イルジンM、ネオイルジンなどがある。 |
クロハナビラタケ |
カサの部分が黒くキクラゲの仲間にも見えますが違います。初夏から秋に広葉樹倒木上に発生。多数の裂片の集合体で大きさは約8cmの毒キノコです。これを食べる人はいないと思うけれど、有毒で消化器系の中毒を起こすらしい。誤って食べると下痢や嘔吐など消化器の症状があらわれます。キクラゲの仲間と思い込んで食べない様に注意しましょう。 |
クサウラベニタケ |
夏から秋にかけて、アカマツ混生林下や広葉樹林下で見る事ができる毒キノコです。毒性はそれほど強くないので、 命にかかわるような事にはならないが食中毒をした事のある人の話では、とにかく苦しいらしい。誤って食べると10分から数時間で症状が現れ、神経系および消化器系の食中毒を起こす。 溶血性タンパク,コリン,ムスカリン,ムスカリジンなどコリン、ムスカリジンは消化系に作用すると言われる。ムスカリンは副交感神経を興奮させることで縮瞳、発汗などを示す毒素である。 |
オオワライタケ | めまい、幻覚、興奮(症状は30分~3時間 早めに症状が現れる) |
カキシメジ | おう吐、下痢など(症状は30分~3時間 早めに症状が現れる) |
シャグマアミガサタケ | おう吐、下痢、死亡(症状は6時間経過してから症状が現れる) |
シロタマゴテングタケ | おう吐、下痢、腎臓や肝臓の障害、死亡(6~10時間経過してから症状が現れる) |
ドクササコ | 1ヶ月以上手足の先に激痛(3日~7日と非常に遅く症状が現れる) |
ドクベニタケ | おう吐、下痢、腎臓や肝臓の障害、死亡(6~10時間経過してから症状が現れる) |
ニガクリタケ | おう吐、下痢、けいれん、死亡(30分~3時間 早めに症状が現れる) |
ヒトヨタケ | (酒を飲むと)おう吐、めまい(20分~2時間 早めに症状が現れる) |
間違って食べると大変!猛毒キノコのリスク
日本国内で発生する種類を一覧形式にまとめました。それ以外の種類についても右の一覧から選んでみてください。毒キノコの名称をクリックすると生息場所、特徴、毒の種類、もし誤って食べたときに現れる症状などをまとめてあります。